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相続税

2020.12.10 

相続税

相続税・贈与税に関するよくある間違い、注意すべき問題について

相続税と贈与税に関する問題

相続対策や贈与に際しての対応について、漠然とした知識や理解のまま進めてしまっては、損失やトラブルを引き起こす可能性が高まります。
と懸念するのも、ただ単に節税に備えるだけという認識や、一部の家庭でしかそう問題は生じないと油断をされている方が、思いのほか多いからです。
もちろんそうした方々は、相続税や贈与税に対し、決して高を括っているわけではないと思います。しかし、やはり相応の準備と対処がなければ、損益を被ることやトラブルに見舞われやすいでしょう。
本記事では、タイトル然り、相続税・贈与税に関するよくある間違い、注意すべき問題について解説します。
どうぞ、ご一読ください。

目次

相続税・贈与税トラブルの傾向

相続税・贈与税に関しても同様で、現状、知識や認識が不足している方は一定数存在します。
そのため、申告漏れなどの問題が年を経て急に減るなどといったことはありません。相続税の申告内容に不備や不明点がある場合、多くは税務調査が入り税金の追加徴収が課されます。想定外の支払いに困惑された方も少なくないでしょう。
また、自宅に訪れた税務署の職員から財産資料の提示を要求されることや、被相続人の生い立ち、職歴、趣味に至るまで細かく質問されることもあります。

相続税・贈与税でトラブルが生じやすい理由

相続税、贈与税に関してトラブルを招いたご夫婦

相続税のトラブルを紐解くと、相続財産の詳細が不透明なことが多いです。

贈与税に関しては、認識の間違いが原因で、相続税を負担するケースが存在します。
被相続人からの預金は名義貸しと判断されれば、相続財産の対象です。名義人が捻出、運用、管理等行った形跡がなければ、税務調査にて指摘を受けることがあります。
結果、想定外に相続税が増えることが起き得るのです。
事前の対処によっては損失を回避できるとは言え、知らない方、勘違いされている方は少なくないでしょう。
理解不足によるトラブルは、無自覚であれば気付くことはできません。したがって、リスクヘッジのためにも、プロへの相談やサポートを仰ぐことが無難だと考えます。

相続税・贈与税で生じたトラブル事例・注意点

相続税、贈与税に対して考えるご夫婦

相続税・贈与税についての知識がぼんやりしていると、往々にして損失が生まれるものです。本章では、具体的なトラブル事例や注意点について紹介します。
決して他人事ではありません。
勘違いや思い込みを払拭し、きちんと認識することが大切ですが、少しでも不安であれば、ためらわずプロに相談してください。

(事例1)生命保険金

被相続人の方は上場企業のサラリーマンの方でした。

息子さんが医学部に合格した際に、生命保険金の受取人を奥様から息子さんに変更された経緯があり、その後、がんで被相続人の方は亡くなられています。
その際、当事務所へご依頼・相談がありました。

遺産総額を計算したところ、基礎控除額を超えていたため、申告が必要でした。
総額は1億6000万円以下。したがって、財産すべてを配偶者が相続すれば「配偶者の税額軽減」で相続税額が0円になる案件だったのですが、実際は、上述した通り息子さんが生命保険金を受け取っています。その結果、相続税額が50万円ほど発生してしまいました。

生命保険金の受取人を変更せず、配偶者名義で引き継ぐことができれば、そこから息子さんの学費を支払っても贈与にはなりません。事前にご相談があれば損失を防げたため、非常に残念でした。

ただし、一概に名義を変えないほうが良いというわけではありません。遺産総額によって状況は異なります。

(事例2)土地の名義

私の友人の話です。彼は、父親名義の土地に自宅を建て、住んでいました。先日久しぶりに会って話をしていたところ、名義変更をして贈与税を50万円ほど支払ったとのこと。よくよく話を聞くと、父親の財産はこの土地を含めても相続税の基礎控除以内であることが分かりました。
もちろん、遺産総額や相続上の人間関係にもよるため、一概に損得を断言することはできませんが、この場合、相続時に名義変更していれば相続税額は0円でした。そうなるとやはり、50万円の贈与税額の発生は、もったいないと感じます。

(事例3)立木

立木と聞けば、山林に生えている松やヒノキのことだと考えがちですが、庭に植えてある立派な桜などの立ち木も含まれます。しかし、記載忘れなのか、認識不足なのか、登記簿謄本や残高証明書といった書類に表れてこないので忘れがちです。しっかりと把握しておきましょう。

(事例4)カーポート

カーポートは固定資産税の対象ではありません。したがって、固定資産税の課税証明書を取り寄せた際、当然、一覧表では確認不可能です。そのため、遺産に計上することを忘れてしまうケースがよく見られます。
価値のあるカーポートは、立派な遺産です。不備なく含めるようにしましょう。

(事例5)生命保険契約

契約者も被保険者も、たとえ子供であったとしても保険料を被相続人が負担していれば、その生命保険契約の権利は遺産に含めなければなりません。
こうしたケースでは、契約者が被相続人ではないため忘れがちなのでしょう。一方で、税務署からすれば被相続人の口座から自動引き落としになっていることも多いため、把握しやすいとも言えます。

(事例6)配当金

名義貸しの配偶者等の株式は、比較的把握しやすいとは言え、その配当金についてまで調べておかなければなりません。大抵は、配偶者等の名義の普通預金に振り込まれています。すでに使ってしまっていれば問題は無いです。しかし、その預金が普段利用していないものであれば、振り込まれたまま残っていることがあります。この場合、その預金は遺産に含まれます。

(事例7)金

最近は見かけなくなりましたが、ひと昔前に、「金(きん)は相続対策に有効な資産です」といったCMがありました。おそらく、金は不動産のように登記・登録が必要ないため、隠せるものと勘違いしているが多く存在します。
金を資産から隠ぺいすることは脱税に当たります。ご注意してください。

(事例8)相続人の確定

相続税の計算で最初に行うことは、相続人の確認です。
なお、私の場合、提携の司法書士に依頼します。戸籍謄本等取り寄せてもらい、法務局で手続きし、法定相続情報証明書を作成いただく流れです。そうすることで、相続人がはっきりします。
ここで気を付けてほしいのが、状況によっては当初の想定とは別に相続人がいる場合があることです。

実際に以前起きた例を挙げます。
とある一家。被相続人と配偶者と子供2人の4人家族だと思っていたところ、調査によって先妻に子供が7人いたことが判明しました。そこで危惧したのは、遺産分割でもめること。したがって、以降は弁護士にバトンタッチせざるを得ませんでした。

(事例9)相続放棄

被相続人が借金を負っている場合、相続放棄がスムーズな対処法だと思っている方は少なくありません。ここで注意したいのは、債務だけの放棄で済むという勘違いです。相続放棄は、債務だけでなく、資産の相続を放棄することも含みます。つまり、被相続人の財産を相続できないということです。

(事例10)贈与税額

以前、テレビのサスペンスドラマで結婚詐欺師を問い詰めるのに以下のようなセリフが使われていました。
“被害を受けた人に債権放棄をしてもらいましょう。そうすれば、贈与税を納めなければならなくなるので問い詰める一助になります。一人当たり400万円の贈与だと贈与税額は33万5千円。4人いるから33万5千円の4人分の計算で134万円です。”

実はこれ、間違いです。
というのも、贈与税は1年の間にトータルでいくらもらったかで算出されます。
したがって、実際は以下の通りです。

まず、400万円の4人分で1,600万円。そこから基礎控除の110万円を控除すると、1490万円残ります。これが課税標準です。
所定の計算式は課税標準×45%-175万(円)。適用すれば、正しい金額がはじき出されます。つまり、贈与税は495万5千円です。

こうした番組では、刑法や民法等の法律監修はあっても、税法にまでは及んでいないケースがほとんどです。鵜呑みにしないよう気を付けましょう。

プロの税理士に相続相談するメリット

相続税、贈与税に関してプロにサポートを頼むご夫婦

相続税・贈与税でトラブルを起こさないよう、スムーズに手続きを進めるためにはプロの税理士に相談することをおすすめします。

メリットの一つは、申告手続きの手間が省ける点です。
相続税の申告書の作成や提出は、経験が無ければ苦労せざるを得ないと言っても過言ではありません。相続税の申告書提出は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内です。長期のように思えて実際はあっという間に過ぎ去ってしまいます。というのも、その間、葬儀や法要なども含めると、参加すべき行事、整理や精査など対処すべきことが山積みなのです。慌てて対応することで、申告不備も十分考えられます。税務調査の対応にしても、プロを介さずやり取りするのは非常に困難です。
だからこそ、経験豊富な専門家に頼るべきだと考えます。労力や負担を軽減でき、トラブルや問題に対しても防止策を講じてもらえる安心感は、非常に大きなメリットです。

そして、もう一つ。相談すれば、節税対策も可能でしょう。生前贈与の活用など自分一人ではなかなか知り得ない方法も、プロの税理士からの提案で有効に作用する期待が持てます。独学だとどうしても困難に直面することが多いです。それこそ、よくある間違いから損失につながってしまうため、やはり信頼に足るサポートのもと進めていくことが安心でしょう。

一方で、税理士の領域を越え臨機応変に対処しなければ解決できない問題があるのも事実です。福永恭生税理士事務所の場合、税理士だけでなく、行政書士や司法書士など各種士業への依頼もまとめて対応いたします。

相続税・贈与税でよくある間違いや問題は回避が可能!

実は事前に回避できる相続税、贈与税の問題

相続税・贈与税について正しく理解していなければ、思いもよらないトラブルに発展してしまうことがあります。
払わなくてよかった相続税、“後悔先に立たず”です。

だからこそ、知見を持たなければなりません。適切に対処する術を学べば、問題の防止策につながります。
と、そうはいってもやはり、いざ手続きをする際には不安がつきものです。慎重に進めたとしても、どこかでほころびが生じる可能性があります。無用な心配をなくすためにも、相続税・贈与税の分野に精通するプロを頼ってください。きっと、大きな後ろ盾となるでしょう。

当事務所では、お客さまに寄り添い、丁寧なサポートで以て、安心を提供いたします。
心配事やご不明な点があれば、ぜひご相談ください。

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